「親から相続した田舎の土地、誰も使わないのに税金だけ払っている」
「山林を相続したけど、場所すらわからない」
こんな悩みを抱えていませんか?
2023年4月から始まった「相続土地国庫帰属制度」なら、条件を満たせば相続した土地を国に引き取ってもらえます。申請は開始1年半で3,000件を突破。想定を大きく上回るペースで利用が広がっています。
ただし、「タダで」「どんな土地でも」引き取ってもらえるわけではありません。
この記事では、実際に使える条件、かかる費用、審査で落ちるケースまで、あなたの土地が対象になるかを判断できる情報をまとめました。
相続土地国庫帰属制度とは?なぜ今注目されているのか
制度の概要
相続した土地を一定の条件のもと、国に引き渡せる制度です。これまで「土地の所有権は放棄できない」とされてきた日本で、初めて公式な”出口”が用意されました。
高齢化と人口減少により、相続しても使い道のない土地が全国で急増。所有者不明土地は九州本島の面積を超える規模に。この社会問題に対応するため、2023年に制度が新設されました。
注目が集まる2つの理由
① 2024年4月から相続登記が義務化された
相続で取得した土地は3年以内に登記が必要となり、違反すると最大10万円の過料。「登記するなら、いっそ手放したい」という人が急増しました。
② 「負動産」問題の深刻化
地方を中心に土地の価格が下落し、売れない・使えない土地が増加。固定資産税と管理責任だけが残る「負動産」に悩む人が増えています。
あなたの土地は対象?利用できる条件をチェック
申請できる人
【重要】引き取ってもらえない土地(却下事由)
以下に該当する土地は、申請段階で門前払いとなります。
最もハードルが高いのが「建物の解体」と「境界の確定」です。
特に境界確定には土地家屋調査士への依頼が必要で、数十万円かかることも。ここで断念するケースが少なくありません。
審査で落ちる可能性がある土地(不承認事由)
申請できても、現地調査の結果、以下の理由で不承認になる場合があります。
- 急な崖がある土地
- 廃屋の基礎、ブロック塀などが残っている土地
- 埋設物(古い浄化槽、水道管、産業廃棄物など)がある土地
- 隣接地とのトラブルが予想される土地
- 国の管理車両が入れない袋地など、管理費用が過大になる土地
山林の場合の注意点:
通常の樹木は問題ありませんが、放置された竹林や管理に支障が出る枯れ木は不承認の原因になります。
費用はいくら?「お金を払って手放す」制度です
この制度は無料ではありません。国に引き取ってもらうために、以下の費用が必要です。
負担金の目安
ポイント:
多くの地方の不要土地は「20万円」で済むケースが多いです。毎年の固定資産税と将来の相続トラブルを考えれば、「20万円で解放される」と判断する人が増えています。
申請から国庫帰属までの流れ(5ステップ)
所要期間:約半年〜1年
実は「取り下げ」も多い?制度利用の現実
申請件数は4,000件を超えましたが、実は途中で取り下げるケースも少なくありません。
法務省の統計(2025年9月末時点)では、申請4,374件に対して実際に国庫帰属が完了したのは2,039件。承認されたものの負担金納付前のケースもありますが、審査過程で断念する人も一定数います。
審査は想像以上に厳格です。国も税金で管理するため、管理コストがかかりすぎる土地は徹底的に排除します。
制度が使えなかった場合の対策
まとめ:放置は次世代へのリスク。早めの決断を
相続土地国庫帰属制度は、決して「簡単に手放せる制度」ではありません。
- 審査は厳格
- 費用もかかる
- 手続きも煩雑
しかし、これまで「出口なし」だった不動産問題に、国が初めて公式な”非常口”を用意したことの意味は大きいです。
今のうちに20万円払って解決するか、毎年の税金を払い続けて子どもに問題を先送りするか。
もし心のどこかで「あの土地、どうしよう…」という不安を抱えているなら、まずは最寄りの法務局で無料の事前相談を受けてみることをおすすめします。
現状を知ることが、あなたとご家族の「重荷」を下ろす第一歩です。
全国の法務局・地方法務局一覧(相談窓口)
相続土地国庫帰属制度の相談・申請は、土地が所在する都道府県の法務局・地方法務局(本局)で受け付けています。
重要:支局・出張所では受付していませんので、必ず本局にお問い合わせください。
相談予約方法
事前予約制(1回30分)です。以下の方法で予約できます:
- 法務局手続案内予約サービス(オンライン予約)
- 各法務局への電話予約
相談時に準備するもの
• 地図・公図・地積測量図
• 固定資産税納税通知書
• 土地の写真
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