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不動産歴40年が語る|親から子への【住宅資金贈与】成功の秘訣と注意点

落ち着いたゆったりとした邸宅の佇まいの写真。 不動産歴40年が語る
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リード文

親から子への住宅取得資金の援助は、大切な家族の未来を築く上で大きなサポートとなります。

しかし、高額な資金が動くため、贈与や貸与の方法、税制優遇措置など、事前に知っておくべきポイントは多岐にわたります。

適切な知識なし進めてしまうと、思わぬ税負担やトラブルに繋がる可能性も少なくありません。

不動産売買の仲介やコンサルティングに40年携わってきた私が、親から子へ賢く住宅取得資金を贈与するためのコツを、最新の税制改正も踏まえて詳しく解説します。

「何から手をつければいいのかわからない」「一人で悩んでいる」という方は、ぜひこの記事を参考に、スムーズで円満な資金援助を実現してください。

可愛い犬が眼鏡をかけ、パソコンを見ているインパクトのある写真。効果的な住宅取得資金贈与のコツをネット検索し、調べているイメージ。

住宅資金援助の選択肢を理解しよう : 贈与?貸与?共有?

親から子への住宅資金援助には、主に以下の3つの方法があります。
それぞれの特徴を理解し、ご家庭の状況に合った最適な方法を見つけることが大切です。

  • 貸与
  • 親と子の共有
  • 贈与

貸与 : 返済計画が明確なら選択肢に

「貸与」は、親が子にお金を貸し、子が返済するという形を取ります。一時的な資金援助として活用されることが多く、他の兄弟姉妹との公平性を保ちたい場合や、子に返済義務を通じて責任感を育んでほしいと考える場合に有効です。

貸与のポイント

  • 契約の明確化 : 税務署から「実質は贈与ではないか」と疑われることを避けるため、金銭消費貸借契約書を正式に作成し、返済計画(返済期間、金利の有無など)を明確に定めることが重要です。
  • 客観的な返済実績 : 返済は銀行振込など、客観的に記録が残る方法で行い、贈与の疑念を払拭しましょう。
  • 親の将来の資金計画 : 親自身も将来資金が必要になる可能性がある場合は、貸与による返済確保は有効な選択肢です。

親と子の共有名義 : 将来の相続を見据えた選択

資金の一部を親が出資し、親も共有名義人として登記する方法です。特に建物は経年劣化により評価額が下がるため、あえて親名義を残しておくことで、将来の相続対策にも繋がる可能性があります。

共有名義のポイント

  • 相続時の公平性 : 複数の子がいて、それぞれが住宅を取得する際に親名義を共有することで、相続時の財産分割における公平性を保ちやすくなります。
  • 遺言書の検討 : 相続時の争いを避けるため、必要であれば遺言書を作成しておくことも有効です。

贈与 : 税制優遇制度を賢く活用

「贈与」は、親から子へ財産を無償で渡す方法です。

特に住宅資金に関しては、複数の税制優遇制度が用意されており、これらを活用することで税負担を大幅に軽減できる可能性があります。

贈与のポイント

  • 税制優遇の活用 : 住宅資金の贈与には、後述する非課税措置や相続時精算課税制度など、税負担を大幅に軽減できる特例が多く用意されています。
  • 事前の情報収集 : 各制度の適用条件や注意点を理解し、ご自身のケースに合った制度を選択することが重要です。
  • 専門家への相談 : 複雑な制度の利用や、より確実な手続きのためには、税理士などの専門家への相談を検討しましょう。

贈与税の基本を知る : 非課税枠と税率

贈与の選択肢を検討する上で、贈与税の基本的な仕組みを理解しておくことは不可欠です。

贈与税の課税対象と基礎控除

贈与税は、財産を受け取った人(受贈者)が申告・納税する義務があります。

1年間(11日~1231日)に贈与された財産の合計額から、基礎控除額110万円を差し引いた金額が課税対象となります。

贈与税の税率

贈与税の税率は、他の税金と比較して高い傾向があります。
特に相続税と比較すると、基礎控除額が低いため、課税対象額が大きくなりやすいのが特徴です。

贈与者が直系尊属(両親や祖父母など)の場合には「特例税率」、その他の場合には「一般税率」が適用されます。
特例税率の方が、税額は軽減されます。

以下に、贈与税の特例税率と一般税率の速算表をまとめてみました。

①特例税率(18歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合)

課税価格税率控除額
~200万円以下10%0円
200万円超~400万円以下15%10万円
400万円超~600万円以下20%30万円
600万円超~1,000万円以下30%90万円
1,000万円超~1,500万円以下40%190万円
1,500万円超~3,000万円以下45%265万円
3,000万円超~4,500万円以下50%415万円
4,500万円超~55%640万円

②一般税率(①以外の場合)

課税価格税率控除額
課税価格税率控除額
~200万円以下10%0円
200万円超~300万円以下15%10万円
300万円超~400万円以下20%25万円
400万円超~600万円以下30%65万円
600万円超~1,000万円以下40%125万円
1,000万円超~1,500万円以下45%175万円
1,500万円超~3,000万円以下50%250万円
3,000万円超~55%400万円

参考 : 国税庁「贈与税の計算と税率」2025年
URL https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm

理解を早めるために、特例贈与財産の贈与税の計算を以下の条件で確認してみましょう。

  • 贈与財産の価格 : 500万円
  • 基礎控除額 : 110万円
  • 課税価格 : 500万円-110万円=390万円
  • 税率は特例税率なので : 15%
  • 控除額 : 10万円
  • 贈与税額 : 390万円×15%-10万円=48.5万円 となります。

このように贈与税額を計算する際には、上記の速算表に当てはめて計算してみてください。

次に通常の贈与以外にも、税制優遇の特例がありますので確認していきましょう。

税理士のご活用を>>

住宅資金贈与で活用したい! 主要な税制優遇制度

ここからは、住宅取得資金の贈与に特化した税制優遇制度を詳しく見ていきましょう。

これらの制度を上手に活用することで、多額の贈与税を非課税にできる可能性があります。

暦年課税 : 毎年コツコツ非課税で贈与

「暦年課税」は、年間110万円までの贈与が非課税となる制度です。
毎年少額ずつ贈与することで、相続時の税負担を軽減できます。

暦年贈与のポイント

  • 非課税枠 : 11日から1231日までの1年間に受けた贈与の合計額が110万円以下であれば、贈与税はかかりません。
  • 相続加算の注意 : 贈与者が亡くなる前の一定期間(令和6年以降は7年以内)に行われた贈与は、相続財産に加算されるため注意が必要です。
    この加算期間は、令和6年を境に3年から7年に延長されました。

住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置 : 最大1,000万円が非課税に!

落ち着いたエレガントな建物室内。吹き抜けの階段部分。記事内容にある住宅取得意欲が高揚するイメージ画。

この制度は、父母や祖父母などの直系尊属から、住宅の新築・取得・増改築のための資金の贈与を受けた場合に、一定額まで贈与税が非課税となる非常にメリットの大きい制度です。

令和8年12月31日まで延長されており、要件が改正されました。

非課税限度額

購入する住宅の質によって非課税となる金額が変わります。

住宅の種類非課税限度額
質の高い住宅1,000万円
一般住宅500万円

「質の高い住宅」とは?

質の高い住宅とは、省エネルギー性能や耐震性能などの一定の要件を満たした以下の表にある住宅用家屋を指します。

新築
住宅
①断熱等性能等級5以上(結露の発生を防止する対策に関する基準を除く)かつ一次エネルギー消費量等級6以上※令和5年末までに建築確認を受けた住宅または令和6年6月30日までに建築された住宅は断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上
②耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物③高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上
既存
住宅

増改築
①断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上
②耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物
③高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上
【中古住宅の注意点】

中古住宅(特に中古マンション)の場合、基本的に「一般住宅」扱いとなることが多いです。

また、新耐震基準(昭和5711日以降に建築された建物)に適合している必要があります。
旧耐震基準の建物は、別途耐震診断による適合証明が得られる必要があります。

その他の重要な要件

  • 住宅資金の定義 : 新築、購入、増改築に直接充てる資金が対象です。
    居住用不動産の現物贈与、住宅取得後の贈与や、既存住宅ローンの返済資金、仲介手数料などの諸経費は対象外です。
  • 受贈者の要件 : 
    • 年齢が18歳以上(贈与日ではなく11日時点の年齢で判定) 
    • 年間合計所得金額が2,000万円以下
    • 過去にこの制度を利用していないこと
    • 贈与を受けた年の翌年315日までに物件の引き渡しを受け、居住していること(新築・増改築の場合は特例あり※3月15日までに棟上げ(木造住宅の建築工事において柱・梁・屋根などの骨組みを組み上げる工程のこと)が完了済みで、その年の12月31日までに住んでいれば適用。ただし確定申告時に3月15日までに引き渡しを受けられなかったことを説明できる書類の提出要
  • 建物の要件 :
    • 登記床面積が50㎡以上240㎡以下で、2分の1以上が居住用あることであること
    • 受贈者の所得が1,000万円以下の場合、登記床面積の下限が40㎡に緩和

贈与税の申告は必須!

この特例を利用するには、贈与税額が非課税であっても、必ず贈与を受けた年の翌年21日から315日までに確定申告が必要です。

住宅取得資金の贈与は無税であっても、税務署に確定申告する必要があるので、税務署の前で女性が確定申告書を持参しているイラスト画。

申告を忘れると特例が適用されず、多額の贈与税がかかるため注意しましょう。

ちなみにこの特例の非課税措置を受けなければ、贈与税は質の高い住宅のケース1,000万円で、(1,000万円-110万円※基礎控除分)×30%-90万円=177万円もかかってしまいます。

参考 : 国土交通省「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」 2025年
URL https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000018.html


相続時精算課税制度 : 大きな非課税枠と相続税の一体課税

「相続時精算課税制度」は、60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子または孫に贈与を行った場合、最大2,500万円まで贈与税が非課税となる制度です。

制度の概要とポイント

  • 非課税枠 : 生涯にわたって2,500万円まで非課税で贈与できます。
  • 年間110万円の基礎控除(令和6年以降): 令和6年1月1日以降の贈与からは、以前には使えなかった毎年110万円の基礎控除が利用できるようになりました。
    これにより、2,500万円の特別控除と年間110万円の基礎控除が併用できます。
  • 2,500万円超の贈与 : 非課税枠を超えた贈与額には、一律20%の贈与税が課されます。
    逆に言えば、その分を超える贈与は一律20%で済ますことができます。
    先に示した贈与税の計算式(参考 : 国税庁「贈与税の計算と税率」2025年
    URL https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm)では、超過累進税率が用いられ最大税率55%にも上るので、比較するとこの制度の税率がかなり低く設定されていることがわかります。
  • 相続時の一体課税 : この制度を利用して贈与された財産は、贈与時の時価を基準として、贈与者が亡くなった際に相続財産に加算され、相続税が計算されます。

相続時精算課税制度のメリット・デメリット

メリットデメリット
早期に多額の財産を贈与できる2,500万円+年間110万円までは非課税、超過分は税率20%)相続時に価格が下がっていても贈与時の時価が基準になる
相続の際のもめ事を未然に防げる土地の相続に小規模宅地等の特例が利用できない
110万円の贈与まで相続税が課税されない(相続加算の対象外)登録免許税や不動産取得税の負担が重い(暦年贈与や相続より高税率)
値上がりの可能性が高い財産を贈与すれば節税になる(贈与時の低い時価で相続税評価)暦年課税への変更ができない(一度選択すると元に戻せない)
収益物件を贈与することで収益が受贈者の者となる孫へ贈与すると相続税が2割加算される
贈与した財産では相続税の物納制度が利用できない

相続時精算課税制度を利用すべき人

  • 相続財産が相続税の基礎控除の範囲に収まっている人 : 贈与財産とその他の相続財産を合わせても、相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を下回る場合、贈与税も相続税もかからない可能性があります。
  • 年間110万円を超える贈与を検討している人 : 暦年贈与よりも税負担を抑えられる可能性があります。
  • 賃貸アパートなど収益物件を所有している人 : 収益部分の相続税負担を抑える効果があります。
  • 値上がりが期待される財産を所有している人 : 贈与時の時価で相続税評価されるため、将来値上がりする可能性のある財産は有利です。

参考 : 国税庁「相続時課税制度の選択」 2025年
URL https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm

組み合わせで最大3,610万円非課税に!【併用可能な制度】

「住宅取得等資金贈与の特例」と「相続時精算課税制度」の併用が可能です。
これにより、以下の組み合わせで最大3,610万円までの贈与を非課税にできます。

  • 住宅取得等資金贈与の特例 : 1,000万円
  • 相続時精算課税制度 : 2,500万円
  • 暦年贈与の基礎控除 : 110万円

併用時の特例 : 贈与者の年齢制限撤廃

通常、相続時精算課税制度は贈与者が60歳以上であることが条件ですが、住宅取得等資金贈与の非課税制度と併用する場合に限り、この年齢制限が撤廃され、60歳未満の贈与者でも利用が認められます
この特例は、令和81231日までの贈与に限られています。

高額な住宅資金の贈与を検討している場合は、これらの制度を組み合わせて活用することを検討しましょう。

まとめ : 親子で納得のいく住宅資金援助のために

親から子への住宅取得資金援助は、家族の絆を深める素晴らしい機会です。

しかし、そのためには税制や制度を正しく理解し、計画的に進めることが何よりも重要です。

  • 贈与・貸与・共有名義のいずれが最適か、ご家庭の状況に合わせて慎重に検討しましょう。
  • 住宅取得等資金贈与の非課税措置や相続時精算課税制度など、利用できる税制優遇制度を把握し、最大限に活用しましょう。
  • 特に、贈与税の確定申告を忘れないようにしてください。

複雑な税制や手続きに不安を感じる場合は。ぜひ税理士などの税務の専門家にご相談ください。

専門家のアドバイスを受けることで、予期せぬトラブルを避け、親子ともに納得のいく資金援助を実現できるでしょう。

税理士のご紹介は>>

親子間の住宅取得資金に関する関する贈与の記事のまとめ部分であるので、老夫婦・息子夫婦その子が一堂に座って笑顔の写真画。

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