リード文:不動産歴40年が見た「住所変更未了」の深刻な実態
不動産歴40年の私が、最近特に増えていると感じるのが「住所変更登記を放置したまま売却に至るケース」です。
2018年、東京都世田谷区で築25年のマンションを売却したいという50代の女性から相談を受けました。登記簿を確認すると、住所は20年前の横浜市の実家のままでした。
「え?引っ越しの度に登記も変えないといけなかったんですか?」
彼女は結婚後に横浜から世田谷に転居し、その後さらに区内で2回引っ越しをしていました。問題は、20年前の横浜市の住民票がすでに除票されて取得できなかったことです。
結果として:
- 住所のつながりを証明する「不在住証明書」「不在籍証明書」の取得に3か月
- 司法書士への追加費用8万円
- 売却のタイミングを逃し、価格を150万円下げざるを得なかった
このような事例は決して珍しくありません。
国土交通省の調査によると、所有権登記名義人の約2割が住所変更未了のままという実態が明らかになっており※1、推計では全国で約400万件以上の住所変更未了登記が存在します※2。
しかし、2026年4月1日から、この住所変更登記が義務化されます。
相続登記の義務化(2024年4月施行)は広く認知されつつありますが、実は「住所・氏名変更の登記義務化」についてはまだ十分に知られていません。
この記事では、40年の実務経験を通じて見てきた住所変更登記の現場から、2026年4月施行の新制度がもたらす影響と、今から準備すべき対策について詳しく解説します。
【基礎知識】住所変更登記義務化とは何か?
2026年4月1日からの新ルール
2026年4月1日から施行される不動産登記法の改正により※3、所有権登記名義人の住所・氏名に変更があった場合、変更日から2年以内に変更登記の申請が義務となります。
これまで住所変更登記は任意でした。そのため多くの方が「面倒だから」「費用がかかるから」と先延ばしにしてきたのが実情です。
なぜ今、義務化が必要になったのでしょうか。その背景には、所有者との連絡が取れないことで公共事業が遅延したり、災害時の安否確認ができないといった社会的な問題があります。
特に重要なのは、過去の変更についても遡及適用されることです。つまり、2026年4月1日以前に引っ越しや結婚をしていても、まだ変更登記を済ませていない場合は、2028年3月31日までに登記を完了させる必要があります。この期限を過ぎると罰則の対象となるため、早めの対応が求められます。
| 時期 | 内容 | 詳細 |
|---|---|---|
| 2026年4月1日 | 住所・氏名変更登記の義務化施行 | 変更から2年以内に登記申請が義務 ⚠️ 罰則:5万円以下の過料 |
| 2026年4月1日 | 登記官の職権登記制度開始 | 住民基本台帳ネットワークと連携 💡 検索用情報提供で自動更新 |
| 2028年3月31日 | 過去変更分の適用期限 | 2026年4月以前の変更もこの日までに登記必要 ⚠️ この期限を過ぎると過料対象 |
2026年4月1日より前に引っ越しや結婚をした方も、2028年3月31日までに登記を完了させる必要があります。早めの対応をお勧めします。
対象となる変更と見落としがちなケース
義務化の対象となる主な変更は、住所の変更、氏名の変更、法人の場合は本店移転や商号変更です。
実務で見落とされがちなのは以下のようなケースです:
住居表示の実施:自分が引っ越していなくても、市区町村による住居表示の実施で住所が変わった場合も対象です。「○○町1番地」が「○○1丁目1番1号」に変わるような場合です。
区画整理による地番変更:土地区画整理事業により地番が変更された場合も、登記上の住所が変わるため変更登記が必要です。
DV被害者の特例:DV被害等で住所を秘匿する必要がある場合は、「正当な理由」として申請義務の例外が認められる可能性があります。この場合、事前に法務局や支援機関に相談することをお勧めします。
罰則:5万円以下の過料と実際の運用
正当な理由なく申請を怠った場合、5万円以下の過料が科されます※5。
ただし、実際の運用では相続登記義務化と同様、いきなり過料が科されるわけではありません。まず法務局から催告書が送付され、それでも対応しない場合に過料の手続きに進むと考えられます。催告を受けた段階で速やかに対応すれば、過料を回避できる可能性が高いでしょう。
【実務経験談】住所変更未了で苦労した実例
事例1:川崎市の戸建て住宅(50代男性)
2015年、川崎市の戸建て住宅を売却したいという相談を受けました。
登記簿の住所:札幌市(25年前の独身時代) 現在の住所:川崎市(転居3回経由)
この方は大学卒業後に札幌で就職し、その際に親から贈与された土地に家を建てました。その後、転勤で大阪、名古屋を経由して川崎に移住しましたが、一度も住所変更登記をしていませんでした。
問題は、札幌市の住民票が保存期間経過(当時は5年)で取得できなかったことです。また、大阪時代の住民票も除票されており、住所のつながりを公的書類で証明することができませんでした。
解決までのプロセスは困難を極めました。まず札幌市役所で「不在住証明書」を取得するのに郵送で2週間。次に、過去の勤務先に在職証明書の発行を依頼しましたが、すでに部署が統廃合されており、人事記録を探し出すのに3週間かかりました。さらに、大阪時代の賃貸契約書のコピーを不動産会社に問い合わせましたが、保存期間経過で廃棄されており、結局オーナーの記憶を頼りに証明書を作成してもらうのに1か月を要しました。
最終的に司法書士が上申書を作成し、これらの資料を添付して法務局と協議を重ね、2か月半かけてようやく住所変更登記が完了しました。
この事例から学ぶべき教訓
- 住民票の保存期間(現在は150年に延長※6)を過ぎると証明が極めて困難
- 過去の勤務先や賃貸契約の記録は時間が経つと入手不可能になる
- 売却のタイミングを逃すと、市場価格の変動で大きな損失が出る可能性
事例2:横浜市のマンション(40代女性)
2020年、横浜市のマンションを相続した女性からの相談です。
母親が15年前に亡くなり、マンションを相続したものの、相続登記を放置していました。いよいよ売却することになり手続きを始めたところ、登記簿上の住所が大阪市のままで、母親は死亡時には横浜市に住んでいたことが判明しました。
相続登記を行うには、まず被相続人(母親)の住所変更登記を前提として完了させる必要があります。これは多くの方が見落とすポイントです。
幸い母親の戸籍の附票で住所のつながりを証明できたため、手続き自体は3週間で完了しましたが、想定外の費用(司法書士費用5万円、各種証明書取得費用等)と時間がかかりました。
この事例から学ぶべき教訓
- 相続が発生する前に親の登記状況を確認しておくことが重要
- 住所変更未了のまま相続が発生すると、手続きが二重に必要
- 早期に対応すれば、費用も時間も大幅に削減できる
私はこれらの経験から、「住所変更登記の放置は、将来の不動産取引で必ず障害になる」と確信しています。特に、売却や相続といったタイミングで初めて問題が顕在化するため、気づいたときには選択肢が限られてしまうのです。
【対策マニュアル】住所変更登記を円滑に進める手順
事前準備:自分の登記状況を確認する
住所変更登記をスムーズに進めるために、まず現在の登記状況を正確に把握することが最優先です。
登記状況の確認で重要なのは、「登記簿上の住所」と「現住所」のギャップを可視化することです。単に一致していないことを知るだけでなく、そのギャップを埋めるために必要な証明書類が何か、それが現在も取得可能かを見極めることが重要です。
特に注意すべきは、20年以上前の住所が登記されている場合です。2024年以前は住民票の除票の保存期間が5年だったため、20年前の住所の住民票は原則として取得できません。その場合、戸籍の附票(保存期間150年に延長済み※6)で証明できるか、それも不可能な場合は不在住証明書や上申書が必要になります。
登記事項証明書はオンライン請求が便利です。法務局の「登記・供託オンライン申請システム」から申請でき、郵送で受け取れます(手数料600円)。
必要書類の準備と取得のコツ
住所変更登記に必要な書類は、個々の状況によって異なります。基本的には登記申請書、住民票の写し、登記識別情報通知などが必要ですが、住所のつながりを証明できない場合は追加書類が必要になります。
戸籍の附票の活用:2019年6月の法改正で、戸籍の附票の保存期間が5年から150年に延長されました※6。これにより、古い住所でも戸籍の附票で証明できる可能性が高まっています。本籍地の市区町村役場で取得できますが、本籍地が遠方の場合は郵送請求も可能です。
不在住証明書の取得方法:住民票も戸籍の附票も取得できない場合、不在住証明書(当該住所に住民登録がないことの証明)を取得します。これは過去の住所地の市区町村役場で発行されます。ただし、この証明書だけでは不十分で、司法書士による上申書の作成が必要になるケースが多いです。
上申書とは:上申書は、住所のつながりを公的書類で証明できない場合に、司法書士が事実関係を説明し、法務局に理解を求める書類です。過去の勤務先の在職証明書、賃貸契約書のコピー、公共料金の請求書など、あらゆる資料を添付して住所の同一性を主張します。
| 書類名 | 取得方法・注意点 |
|---|---|
| 登記申請書 | 法務局ウェブサイトからダウンロード可能 記載例を参考に作成 |
| 住民票の写し | 市区町村役場で取得(300円程度) ⚠️ マイナンバー記載なしのもの 💡 住所のつながりを証明できるもの |
| 戸籍の附票 (必要に応じて) | 本籍地の市区町村役場で取得(300円程度) 💡 住民票で証明できない場合に使用 💡 保存期間150年に延長済み |
| 戸籍謄本 (氏名変更の場合) | 本籍地の市区町村役場で取得(450円程度) 結婚・離婚等で氏名が変わった場合に必要 |
| 登記識別情報通知 または権利証 | 不動産取得時に法務局から交付されたもの 申請書に番号を記載 |
| 委任状 (司法書士依頼の場合) | 司法書士が用意 実印での押印が必要 |
古い住所の住民票が除票されている場合は、不在住証明書、上申書等が追加で必要になります。司法書士への相談をお勧めします。
手続きの具体的な流れと注意点
住所変更登記の手続きは、登記状況の確認から登記完了まで、おおむね3週間〜1か月程度かかります。ただし、住所のつながりを証明できない場合はさらに時間を要します。
オンライン申請の活用:法務局の「登記・供託オンライン申請システム」を使えば、自宅から24時間申請が可能です。登録免許税も電子納付できるため、窓口に行く手間が省けます。ただし、初回利用時は電子証明書の取得や申請用総合ソフトのインストールが必要なため、ITに不慣れな方は司法書士への依頼をお勧めします。
補正対応の可能性:申請書類に不備がある場合、法務局から補正(修正)の連絡が来ます。この段階で迅速に対応すれば、申請は受理されます。放置すると却下される可能性があるため、申請後も法務局からの連絡には注意が必要です。
登記完了後の確認:登記が完了したら、必ず登記事項証明書を取得して変更内容が正しく反映されているか確認しましょう。稀に登記官のミスで住所が誤って登記されるケースもあります。
⏱️ 期間:即日〜3日程度
⏱️ 期間:1週間〜2週間
⏱️ 期間:1日〜3日程度
💡 自分で作成 or 司法書士に依頼
⏱️ 期間:即日
💡 複数物件ある場合は件数分必要
⏱️ 期間:即日
💡 窓口・郵送・オンラインから選択可能
⏱️ 期間:1週間〜2週間
✅ 登記事項証明書で変更を確認
自分で申請:約3週間〜1か月|司法書士に依頼:約2週間〜3週間
費用を抑える方法と費用対効果の考え方
住所変更登記の費用は、自分で行うか司法書士に依頼するかで大きく異なります。
自分で申請する場合のメリットとデメリット: 費用面では登録免許税(1,000円/件※7)と各種証明書取得費用のみで済むため、数千円程度に抑えられます。また、手続きの流れを理解することで、将来の相続登記などにも応用できる知識が身につきます。
一方、デメリットとしては、登記申請書の記載方法を間違えると補正や却下のリスクがあること、住所のつながりを証明できない場合の対応が困難なこと、時間と労力がかかることが挙げられます。
司法書士に依頼する場合のメリットとデメリット: 報酬は1万円〜3万円程度かかりますが、確実に手続きが完了すること、複雑なケースでも対応可能なこと、時間と労力を節約できることがメリットです。特に、住所のつながりが証明できない場合や、複数の不動産を所有している場合は、司法書士への依頼が賢明です。
費用対効果の考え方: 私の経験では、司法書士費用を「コスト」ではなく「保険」と捉えるべきだと考えています。自己流で進めて失敗すると、再申請の手間や売却時のトラブル対応で結果的に高くつくケースが多いからです。特に売却予定がある場合は、確実性を優先すべきでしょう。
| 費用項目 | 自分で申請 | 司法書士に依頼 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 1,000円/件 | 1,000円/件 |
| 住民票・戸籍等 | 300円〜1,500円 | 300円〜1,500円 |
| 登記事項証明書 | 600円〜700円 | 600円〜700円 |
| 司法書士報酬 | 0円 | 10,000円〜30,000円 |
| 合計(目安) | 約2,000円〜3,500円 | 約12,000円〜33,000円 |
• 手続きの流れを理解できる
• オンライン申請も可能
• 複数の不動産を所有している
• 時間的余裕がない
• 確実に手続きを完了させたい
司法書士費用は「コスト」ではなく「保険」と考えましょう。ミスによる再申請や、売却時のトラブル回避を考えると、専門家への依頼は十分に価値があります。
【2026年改正】登記官による職権登記制度
画期的な新制度の導入
2026年4月の改正では、登記官が職権で住所変更登記を行う制度も同時に導入されます※4。これは画期的な制度で、一定の条件を満たせば自動的に住所変更登記が完了します。
制度の仕組み: 法務局が住民基本台帳ネットワークと連携し、登記名義人の住所変更を自動的に把握します。変更を検知すると、登記名義人に通知が送られ、同意があれば職権で住所変更登記が行われます。
対象者の条件: この制度を利用するには、あらかじめ法務局に検索用情報(生年月日等)を提供する必要があります。また、個人のみが対象で、法人は対象外です。
制度の限界と注意点: 職権登記制度は便利ですが、すべてのケースに対応できるわけではありません。例えば、2026年4月より前に住所変更があった場合、その変更については自分で申請する必要があります。また、氏名変更(結婚・離婚等)には対応していないため、別途申請が必要です。
登録の方法: 2026年4月以降、法務局のウェブサイトや窓口で検索用情報の提供手続きが可能になる予定です。詳細は施行が近づいたら法務局から発表されるでしょう。
答えは「いいえ」です。職権登記制度は、あらかじめ法務局に検索用情報(生年月日等)を提供した人のみが対象です。また、制度開始は2026年4月なので、それまでに住所変更があった方は自分で申請する必要があります。
【ケース別対応】よくある状況と解決法
実務では、様々なケースに遭遇します。ここでは代表的な状況と、それぞれの解決策を詳しく解説します。
ケース1:転居を繰り返している場合
転勤族や賃貸暮らしで何度も引っ越しをしている方は、住所変更登記を放置しがちです。
実務での対応例: 東京都内で7回引っ越しをした方のケースでは、幸い戸籍の附票で全ての住所のつながりを証明できました。この場合、最初の登記住所から現住所への変更登記を一度に行うことができます。途中の住所を一つ一つ登記する必要はありません。
注意すべきポイント: ただし、途中の住所が本籍地として使われている場合など、戸籍の附票が複数に分かれているケースでは、すべての戸籍の附票を取得する必要があります。
ケース2:結婚で氏名が変わった場合
結婚や離婚で氏名が変わった場合、住所変更と同時に氏名変更登記も必要です。
よくある誤解: 「銀行口座や運転免許証の名義変更はしたから、不動産登記も自動的に変わるだろう」と思い込んでいる方が意外と多いのですが、不動産登記は自分で申請しない限り変わりません。
手続きのポイント: 氏名変更の証明には戸籍謄本(抄本)が必要です。結婚前後の氏名が記載された戸籍を取得し、登記申請書に添付します。登録免許税は住所変更と同じく1,000円/件※7です。住所と氏名が両方変わっている場合でも、一つの申請で同時に変更できます。
ケース3:住民票が除票されている場合
これが最も困難なケースです。特に平成26年(2014年)以前の住所は、住民票の除票が廃棄されている可能性が高いです。
私が実際に取った対応策: まず戸籍の附票を確認します。2019年6月以降は保存期間が150年に延長されているため、比較的古い住所でも証明できる可能性があります。
それでも証明できない場合は、以下の手順で進めます:
- 過去の住所地で不在住証明書を取得
- 過去の勤務先に在職証明書を依頼(在籍期間と勤務地を記載)
- 過去の賃貸契約書、公共料金の請求書など、住所を証明できる資料を収集
- 司法書士が上申書を作成し、これらの資料を添付して法務局に提出
このような複雑なケースでは、必ず司法書士に相談することをお勧めします。
ケース4:複数の不動産を所有している場合
マンション、戸建て、山林など、複数の不動産を所有している場合、それぞれについて住所変更登記が必要です。
効率的な進め方: 同一管轄の法務局であれば、一つの申請書で複数の不動産の変更登記を一括申請できます。登録免許税は不動産の件数分(1,000円×件数※7)かかりますが、手続きの手間は大幅に削減できます。
異なる管轄の場合: 東京と地方など、管轄が異なる法務局の場合は、それぞれに申請が必要です。この場合、司法書士に一括依頼すると、複数の管轄にまたがる手続きも効率的に進められます。
住所のつながりが証明できない、手続きが複雑など、少しでも不安がある場合は、早めに司法書士に相談しましょう。自己流で進めて失敗すると、余計に時間と費用がかかります。
【プロの視点】義務化がもたらす影響と今後の展望
不動産取引への影響
2026年の義務化により、不動産取引の現場も大きく変化します。
売買時の事前確認が厳格化: すでに不動産業界では、売却相談を受けた段階で登記状況を必ず確認するようになっています。住所変更未了の場合、売却前の登記完了を強く推奨し、場合によっては司法書士を紹介して対応を促しています。
買主側のリスク意識向上: 買主側も、購入前に登記状況をより慎重にチェックするようになっています。住所変更未了の物件は「管理が行き届いていない」と判断され、価格交渉の材料にされる可能性もあります。
重要事項説明の強化: 宅地建物取引業法に基づく重要事項説明では、登記状況の説明が一層重要になっています。住所変更未了の事実を買主に説明し、売主に対しても義務化の内容を周知する必要があります。
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相続手続きへの影響
相続が発生した際、被相続人の住所変更未了があると、手続きが二重に必要になります。
私が最近経験したケース: 2024年に相続が発生した事例では、被相続人(父親)が30年前に引っ越した際の住所変更登記を放置していました。相続登記を行う前提として、まず被相続人の住所変更登記を完了させる必要があり、相続人にとって想定外の時間と費用がかかりました。
今後の変化: 義務化により、このような事例は徐々に減少していくと予想されます。ただし、2026年4月以前の相続については、引き続き同様の問題が発生する可能性があります。
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市場の透明性向上
長期的には、義務化により以下の効果が期待されます:
登記情報の正確性向上: 登記簿を見れば所有者の現住所が正確に把握できるようになり、所有者との連絡が容易になります。
公共事業のスムーズ化: 道路建設や防災工事などの公共事業で、所有者不明問題が大幅に減少します。私が経験した町田市の市道拡幅工事のような、所有者探索に3年かかるケースは今後減っていくでしょう。
固定資産税の適正化: 所有者の現住所が正確に登記されることで、固定資産税の課税や納税通知書の送付がスムーズになります。
2030年代の展望
不動産登記のデジタル化はさらに進展すると予想されます。
完全デジタル化への道筋: 2026年の職権登記制度導入は、将来的な完全自動化への第一歩です。将来的には、住民票の異動と同時にリアルタイムで登記が更新される仕組みが実現するかもしれません。
マイナンバーとの連携強化: マイナンバーカードを活用した本人確認や、マイナポータルでの登記手続きなど、利便性の向上が期待されます。
AI活用による効率化: 登記申請書の自動チェック、必要書類の自動判定など、AIを活用した業務効率化も進むでしょう。
よくある質問(FAQ)
上記以外のご質問がある場合は、お近くの司法書士や法務局にご相談ください。初回相談無料の司法書士事務所も多くあります。
まとめ:今すぐ取るべきアクション
• 売却・相続の予定がある → 最優先
• 登記簿の住所が20年以上前 → 最優先(住民票が除票されている可能性大)
• 転居を繰り返している → 高優先(住所のつながり証明が複雑化)
専門家活用のすすめ
司法書士選びのポイント: 住所変更登記は比較的シンプルな手続きですが、住所のつながりを証明できない場合は専門知識が必要です。司法書士を選ぶ際は、不動産登記の実績が豊富で、複雑なケースにも対応できる事務所を選びましょう。
相談のタイミング: 登記状況を確認した結果、住所のつながりを証明できるか不安な場合は、早めに司法書士に相談することをお勧めします。多くの司法書士事務所では初回相談を無料で行っていますので、気軽に相談してみてください。
費用対効果の再考: 司法書士費用を「節約すべきコスト」と考えるのではなく、「将来のトラブルを回避するための保険」と捉えることが重要です。特に売却予定がある場合、確実に手続きを完了させることで、スムーズな取引が実現します。
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複雑なケースでは、複数の司法書士に相談することをお勧めします。
相見積もりのメリット:
- 費用の妥当性を確認できる
- 異なる解決策を比較検討できる
- 自分に合った司法書士を選べる
相談時に確認すべきこと:
- 具体的な手続き方法と期間
- 必要書類とその取得方法
- 費用の内訳と総額
- 補正や却下のリスク
最後に
40年の不動産実務を通じて、「登記の放置が将来の大きなトラブルにつながる」という場面を数多く見てきました。
2026年4月の住所変更登記義務化は、所有者不明土地問題の解決に向けた重要な一歩です。しかし同時に、多くの不動産所有者にとって新たな義務が課されることになります。
義務化されるから対応するのではなく、自分の財産を守り、将来の円滑な取引のために、今から準備を始めることが重要です。
まずは、ご自身の登記状況を確認することから始めてください。登記事項証明書を取得し、登記簿の住所と現住所を照合するだけで、自分が今何をすべきかが明確になります。
必要に応じて、お近くの司法書士や法務局にご相談されることをお勧めします。2028年3月31日という経過措置の期限を意識しながら、計画的に対応していきましょう。
この記事が、皆様の住所変更登記手続きのお役に立てれば幸いです。
参考文献・関連リンク
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00343.html
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00600.html
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00601.html
第76条の5(所有権の登記名義人の氏名等の変更の登記の申請)
戸籍の附票の保存期間の見直し(5年→150年)
不動産登記に係る登録免許税:不動産1個につき1,000円
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/
https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk2_000214.html
本記事の情報は2026年2月時点のものです。法改正や制度変更により内容が変更される場合があります。実際の手続きについては、必ず最新の公式情報をご確認いただくか、司法書士・法務局にご相談ください。
