「60歳から資産運用を始めても遅いのでは?」——退職や再雇用をきっかけに、老後資金について考え始める方は少なくありません。総務省の家計調査(2025年)によると、65歳以上の無職世帯の貯蓄現在高は前年から減少に転じ、6年ぶりのマイナスとなりました。「置いておくだけ」では資産が目減りしやすい時代だからこそ、60歳からのNISA活用や資産配分の見直しが注目されています。この記事では、NISAの活用法、退職金の運用、60歳から65歳までの資金計画、65歳以降の取り崩しまで、老後資産を守りながら増やす考え方を解説します。
- 課題解決:60歳から老後資金が「増えない・足りない」不安をどう整理するか
- 具体策:資産を「使う時期」で3つに分け、NISAを余裕資金だけで活用する方法
- 得られる成果:退職金や年金と両立させながら、資産を長持ちさせる考え方が身につく
60歳からでも老後資産を増やすことはできる
「もう投資を始めるには遅い」と感じるかもしれませんが、資産形成は年齢だけで判断するものではありません。重要なのは、いつまでにどれくらいのお金が必要かを把握し、その期間に合わせて資産を管理することです。65歳から公的年金を受け取り、その後20年以上生活するなら、60歳から始めても十分な運用期間を確保できます。一方で、数年以内に使う予定のお金まで投資に回すと、相場下落時に損失を抱えたまま売却する可能性があります。「投資をするか、しないか」ではなく「どのお金を運用するのか」を考えることが、60歳からの資産形成の出発点です。老後資金が2,000万円あっても、年金だけで生活費が足りる人と毎月5万円不足する人では必要な運用方法が大きく異なります。まずは自分の「毎月の不足額」を確認することから始めましょう。
老後の収支を把握するのが最初のステップ
「老後資金は2,000万円必要」といった数字を見かけますが、必要な金額は持ち家か賃貸か、退職金や年金額によって大きく異なります。特に重要なのが、年金受給後の毎月の収支です。総務省の家計調査(2023年)によると、高齢夫婦無職世帯の実収入は月24万4,580円である一方、消費支出は月25万959円、さらに税金や社会保険料などの非消費支出が月3万1,538円かかるため、月3万7,916円の不足が生じています。年間では約45万円、20年間では約900万円の取り崩しが必要になる計算です。さらに住宅修繕費や医療・介護費用など、一時的な大きな支出への備えも欠かせません。
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老後資金の管理は、まず日々の家計収支をチェックすることから始まります。
Amazonで家計簿ソフト・ノートを見る >60歳からの資産は「使う時期」で3つに分ける
老後資金の運用で重要なのは、すべてを同じ方法で管理しないことです。
→ 現金・預貯金で確保
→ 値動きの大きい資産は避ける
→ NISAなどで長期運用を検討
3つの線引きに迷う場合は、「使う時期が具体的に決まっているかどうか」を基準にすると判断しやすくなります。使い道が未定の資金だけを、NISAなどの運用対象として検討しましょう。
60歳からNISAを始めるメリット
NISAは投資で得た利益が非課税になる制度です。詳しい投資枠や年齢条件は下表のとおりですが、60歳から始める場合に特に注目したいのが非課税保有期間です。2023年までの制度では、一般NISAの非課税期間は5年、つみたてNISAは20年と期限が設けられており、期間終了時には課税口座への移管や売却を検討する必要がありました。2024年から始まった新NISAでは、この非課税保有期間の上限が撤廃され、無期限になっています。60歳から始めても「期限までに使い切らなければ」と焦る必要がなく、自分のペースで運用を続けられる点は、老後資産形成との相性がよいといえます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年間投資枠 | 合計360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円) |
| 非課税保有限度額 | 1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで) |
| 非課税保有期間 | 無期限(2023年までは一般NISA5年/つみたてNISA20年) |
| 利用可能年齢 | 18歳以上(年齢の上限はなし) |
| 口座数(速報値) | 約2,826万口座(2025年12月末時点) |
制度の普及も進んでおり、金融庁によると累計買付額は約71兆円に達し、政府目標を大幅に前倒しで達成しています。ただし非課税だから損をしないわけではなく、価格変動で元本割れする可能性もあります。老後の生活費を確保したうえで、長期間使う予定のない資金を中心に活用することが重要です。
金融庁によると、NISA口座数は2025年12月末時点(速報値)で約2,826万口座、累計買付額は約71兆円に達し、政府目標を大幅に前倒しで達成しています。ただし非課税だから損をしないわけではなく、価格変動で元本割れする可能性もあります。老後の生活費を確保したうえで、長期間使う予定のない資金を中心に活用することが重要です。60歳からの投資は、短期間で大きな利益を狙うより、10年以上を想定した長期運用との相性がよいとされています。毎月一定額を積み立てる方法なら、価格が高いときには少なく、安いときには多く買うことになり、購入時期を分散できます。
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60歳からNISAでいくら投資すればいい?
正解となる金額はありません。生活費・預貯金・年金・退職金・今後の支出を踏まえ、無理のない金額を設定することが大切です。投資に慣れていない場合は毎月1万円など少額から始め、まとまった余裕資金がある場合は一括投資も選択肢になりますが、投資直後の下落が生活資金に影響しないよう、投資額と現金のバランスを慎重に考えましょう。
📈 当面使わない余裕資金は「新NISA」で賢く運用しよう
老後資金のうち10年以上使う予定のない「余裕資金」は、非課税メリットを無期限で活かせる「新NISA」での運用が効果的です。60代からの口座開設先として特におすすめなのがSBI証券です。売買手数料が無料(ゼロ革命)で、100円からのスモールスタートにも対応しているため、リスクを抑えて自分のペースで資産運用を始められます。
💡 FPの視点:
60代からの資産運用で大切なのは「一括で勝負しないこと」と「無駄な手数料を徹底的に払わないこと」です。新NISAは無期限で非課税運用ができるため、焦らず月1万円などの分散投資から始めるのが安全です。SBI証券は日本株や投資信託の売買手数料がゼロなので、運用の手残り額を最大限残せる安心の選択肢です。
60歳の退職金はどう運用すればいい?
厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」によると、大学・大学院卒の定年退職金の平均額は1,896万円(勤続35年以上は2,037万円)、高校卒は1,682万円です。退職金も「近い将来の生活費」「数年以内に使うお金」「長期間使わない余裕資金」の3つに分けて考え、長期間使わない部分のみを運用対象にするのが基本です。
60歳から65歳までの5年間をどう乗り切るか
定年後に収入が減り、年金受給開始まで期間がある場合、その間の生活費をどこから出すかを事前に考えておく必要があります。厚生労働省によると、2025年度の年金額は国民年金(満額)が月6万9,308円、厚生年金は夫婦2人のモデル世帯で月23万2,784円です。この期間に相場が大幅に下落すると、生活費のために値下がりした資産を売却せざるを得なくなる可能性があるため、投資資産だけに頼らない資金計画を立てておくと安心です。
65歳以降は「増やす」から「取り崩す」も考える
65歳になったからといって、運用資産をすべて現金化する必要はありません。今後10年、20年と使わない資金は引き続き運用し、近い将来使う資金は現金などへ移す考え方もあります。重要なのは「資産を一切減らさないこと」ではなく、寿命を迎えるまで資産を持たせることです。年金だけで不足する分は、預貯金や運用資産から計画的に補いましょう。
60代からの資産「使い切り」法
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60歳からの資産運用で避けたい5つの失敗
共通しているのは、「早く」「大きく」増やそうとする焦りが判断を誤らせる点です。SNSや知人の体験談はあくまで参考程度にとどめ、あらかじめ「どの程度の値下がりなら耐えられるか」という自分なりの基準を持っておくことが、失敗を避ける近道になります。
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まとめ|60歳からでも老後資産形成は始められる
60歳からでも、老後資産を着実に増やしていくことは可能です。重要なのは、老後の生活費を把握し、年金受給後の収支を確認したうえで、近い将来使うお金と運用するお金を分け、余裕資金でNISAなどを活用することです。「もう遅い」と考えて何もしないより、現在の資産と将来の支出を整理し、自分に合った方法で少しずつ資産形成を始めることが、安心できる老後につながります。
| データ | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| NISA年間投資枠・非課税保有限度額 | 360万円/1,800万円 | 金融庁「NISAを知る」 |
| NISA口座数(速報値) | 約2,826万口座(2025年12月末) | 金融庁 |
| 高齢夫婦無職世帯の月間収支 | 実収入24.5万円/消費支出25.1万円/非消費支出3.2万円/不足3.8万円 | 総務省「家計調査年報」2023年 |
| 65歳以上無職世帯の貯蓄現在高 | 2,494万円(前年比減、6年ぶり) | 総務省「家計調査報告」2025年 |
| 大学・大学院卒の定年退職金平均 | 1,896万円(勤続35年以上は2,037万円) | 厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」 |
| 2025年度 国民年金(満額) | 月69,308円 | 厚生労働省 |
| 2025年度 厚生年金(夫婦2人モデル) | 月232,784円 | 厚生労働省 |
